【職業図鑑】特殊伐採作業員(空師・アーボリスト)の仕事内容・年収・リアルな実態

【職業図鑑】特殊伐採作業員(空師・アーボリスト)の仕事内容・年収・リアルな実態

「木を伐る仕事」と聞いて、広大な山林で木を切り倒す林業を思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし、今回紹介する「特殊伐採(通称:空師)」は全くの別物です。

住宅密集地や神社、送電線の真横など、「クレーンなどの重機が一切入れない狭い場所」に生えた数十メートルの巨木を、ロープ技術を駆使して人力で解体していく、究極の高所・危険作業プロフェッショナルです。

1. 職業の概要と基本データ

項目 詳細
平均年収 約450万円〜700万円(※技術力による完全実力主義。独立で1000万超も)
主な勤務先 特殊伐採専門業者、造園業、林業会社
労働時間 8:00〜17:00(※日照時間による。暗くなると作業不可)
休日の取りやすさ 雨天・強風時は非常に危険なため休みになることが多い
必要な資格 チェーンソー(伐木等)特別教育、フルハーネス型墜落制止用器具特別教育など

2. 主な仕事内容

彼らの仕事場は、足場のない「空中の樹上」です。

  • ロープクライミング(樹上へのアクセス):

    専用のロープやハーネス(安全帯)だけを使い、枝のないツルツルの幹を高さ20〜30メートルまで登っていきます。

  • 樹上での「吊り切り(リギング)」:

    下には家屋や電線があるため、木をそのまま切り倒すことはできません。そのため、樹上で枝や幹を細かく切り落とすのですが、そのまま落とすと下の建物を破壊してしまいます。別の枝に滑車とロープをセットし、切った数十キロ〜数百キロの丸太を「空中で吊るして、ゆっくり地上へ下ろす」という高度な技術(リギング)を使います。

  • 極限の物理計算:

    「この太さの幹を切ったら、重心はどこに傾き、ロープに何トンの衝撃荷重がかかるか」という物理法則を瞬時に計算できなければ、自分が木ごと倒れるか、ロープが切れて大事故に繋がります。

3. 年収・給与のリアルな相場

林業全般の平均年収は300万円台と言われることもありますが、「特殊伐採」ができる空師は別格です。

他人が絶対にできない危険作業を請け負うため利益率が高く、一般的な従業員でも年収450万〜700万円と高水準になりやすいです。

さらに、高所作業車やクレーンが入れない現場の依頼は全国からひっきりなしに舞い込むため、独立して一人親方や数人のチームを組めば、1案件で数十万円〜数百万円の売上となり、年収1,000万円を大きく超えることも珍しくありません。

4. 労働環境に関する実態

労働環境は、すべての職業の中でもトップクラスの「肉体的ハードさ」を誇ります。

  • 高所での筋力と体幹の消耗:

    足場がグラグラと揺れる樹上で、重さ数キロ〜十数キロのチェーンソーを振り回します。不安定な体勢で力を使うため、体幹や腕の筋肉への負担は凄まじいものがあります。

  • おがくずと虫との戦い:

    夏場は樹上にスズメバチの巣があることも多く、刺される危険と常に隣り合わせです。また、頭上から降り注ぐ大量のおがくずを被りながらの作業となります。

5. この仕事のやりがいと、きついこと

【やりがい】

  • 自然と物理法則を制圧する快感: 計算通りにロープの張力が働き、何トンもある巨木を狭い隙間にピタリと安全に下ろせた時の、パズルのピースがはまったような達成感は格別です。

  • 唯一無二の技術者としての誇り: 「重機が入らないから切れない」と他の業者が匙を投げた現場を、自分の腕一つで解決する圧倒的なヒーロー感があります。

【きついこと・危険な面】

  • 「ワンミス=死」のプレッシャー: 高所からの墜落はもちろん、チェーンソーが跳ね返る「キックバック」による大怪我、切った幹が自分を直撃するリスクなど、常に死と隣り合わせです。

  • 天候に収入と命が左右される: 雨で樹皮が滑る日や、強風で木が揺れる日は作業ができないため、工期が遅れるプレッシャーや収入の不安定さが伴います。

6. 向いている人・向いていない人

【向いている人】

  • 空間把握能力が高く、物理的な「力の逃げ場」を論理的に計算できる人

  • 高所に対する恐怖心がなく、同時に「命綱への徹底した安全確認」ができる慎重な人

  • ロープワークや専用ギア(道具)の仕組みを学ぶのが好きな人

【向いていない人】

  • 安全確認のルーティンを「面倒くさい」と省いてしまう大雑把な人

  • 体力や体幹の筋力に自信がない人

  • 「木を切るだけの単純作業」だと甘く見ている人

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